長くなるので4つに分けます。今日はその3。1、2はこちらです。
※私は原作を読んでません
※ネタバレを含みます
※引用するセリフは私の記憶にあるものなので誤りがあるかもしれません。ご指摘くださると大変ありがたいです。
斯波宗典はなぜ行政とつながらなかったのか
父親の生前、親子2人だけのシーンしかなく、ヘルパーさんが訪問したり介護サービスを受けたりするような描写がない。彼らは介護保険は使わなかったのだろうか。
私は自分の子のお世話しか経験がないが、人のケアは体力と精神力を消耗する。誰にも頼らずこなすのはとても難しい。
ましてや高齢者の介護である。彼ら彼女らは体も大きく、こだわりもプライドもあるだろう。そして一般論として赤ちゃんのお世話と違い、ゴールが予測できない。今の状況が一生続くような気持ちにもなるだろうと想像できる。つらい。
先のリンクにもあるように介護保険は2000年4月からスタートした国の制度で、自治体から認定を受ければ、介護保険サービスを費用の1割負担で受けられる制度である。
……。
彼らはもしかして介護保険制度を知らなかったのではないだろうか。
宗典のいう"社会の穴"に落ちないように用意されていたロープもあったが、それを知らないがために掴み損ね、落ちてしまったのではないだろうか。
もしそうだとすると、無知というのは罪だと感じざるを得ない。
(生活保護の申請で窓口に行った宗典を冷たくあしらった職員さん、機転を利かせてくれればよかったのに…と悔やまれる。)